Vol.10 地元密着で四半世紀。KENとヨコハマの過去・現在・未来

ケン・コーポレーション 横浜支店:レイトンハウス2階にある横浜支店。落ち着いた雰囲気の空間が広がる

横浜の高額賃貸をリード、市場を創出

KENが横浜に支店をオープンしたのは1994年。1980年代初頭に始まった「横浜みなとみらい21」(以下、みなとみらい)の開発を一躍有名にした「横浜ランドマークタワー」開業の翌年に横浜駅西口のオフィス街でスタートしました。横浜に出店したのは、「山手町にあるインターナショナルスクールの近くに住みたい」という外国人顧客のニーズを受けてのことでした。

「山手には2校のインターナショナルスクールがあり、そこに通うためにと、山手町や本牧で家を探したいという方が少なからずいらっしゃいました。当時の横浜には都心のような高額賃貸のニーズは少なく、物件があるのはその2エリアだけ。こういった背景から住宅賃貸仲介をメインにビジネスを始めました」(ケン・コーポレーション横浜支店・黒岩弘幸支店長)。支店開設から20年以上経つ現在でもお客様の多くはそういった外国人駐在員とその家族の方々。KENが運営する外国人向けサイトでは、インターナショナルスクールにフォーカスした検索機能を備えるなど、お客様のニーズに合わせた工夫をしているそうです。

横浜インターナショナルスクール

横浜インターナショナルスクール:大正13年開校したインターナショナルスクールで山手町の中心に立地、周辺には文化施設も多数

サンモール・インターナショナルスクール

サンモール・インターナショナルスクール:明治5年、日本で最初に設立されたインターナショナルスクールがサンモール・インターナショナルスクール。著名人も輩出している

M.M.Tower

M.M.Tower(MMタワーズ):みなとみらい駅から歩いて3分という好立地にある。3棟からなり、総戸数は862戸

その後、みなとみらいの開発が進むにつれ、高額賃貸の需要も徐々にみなとみらいに移っていきました。1997年の「クイーンズスクエア横浜」開業に続き、2003年には街区初のタワーマンション「M.M.Tower(MMタワーズ)」が完成。そして2004年2月には東急東横線と直結したみなとみらい線が開通し、沿線のみなとみらい駅、元町・中華街駅などの周辺でマンションの供給が一斉に始まりました。

その少し前、2000年にKEN横浜支店は現在オフィスを構える山下町に移転しています。移転先は山下公園や横浜マリンタワー、横浜中華街といった、横浜名所にほど近い場所にある「レイトンハウス横浜」。横浜では早い時期に建てられたタワーマンションです。ここは関東大震災からの復興のために創設された同潤会が建てた「山下町アパート」の跡地で、当時はこの地で100㎡をはるかに越す住戸を含むハイグレードな物件が成り立ちうるのか、チャレンジ過ぎるのではという議論も社内であったそうです。

レイトンハウス横浜

レイトンハウス横浜:ゆったりとした敷地に建つレイトンハウス横浜はこの地の高額賃貸をリードしてきた物件

「実際には逆に先見性が際立つ結果になりました。1998年に弊社がレイトンハウス横浜を取得以降、グレードアップをし続けてきたことで長年満室が続いており、今も競合はない状態。山手町・本牧以外の場所でも高額物件が成り立つことを広く知らしめたと言っても良いのではないでしょうか。近隣で外国人向け物件の開発が行われる時の参考にされてもいるようです」。

東日本大震災でみなとみらいの安全性に高評価

みなとみらい線開通で交通利便性がアップ、さらに各種施設等の充実で生活利便性も徐々に整っていく中、みなとみらいの安全性が評価されることが起きました。2011年の東日本大震災です。その前年の2010年、当時のみなとみらいでは1フロア1000坪という神奈川県下では他に例のない規模のオフィスビル「みなとみらいセンタービル」が誕生しています。

みなとみらいセンタービル

みなとみらいセンタービル:みなとみらい駅直結のみなとみらいセンタービル。安全性のみならず、環境への配慮でも知られている

「弊社が管理・運営に関与しているこのビルでは、震災時にコンビニエンスストアで陳列していたお菓子がひとつも落ちなかったことが話題になりました。企業のBCP(事業継続計画)を考えれば、安全な場所にオフィスを構えることは基本中の基本。もちろん、住宅も同様。大震災はみなとみらいの安全性が高く再評価されるきっかけになりました」。

みなとみらいは地盤改良を施した土地であることはもちろん、災害時の輸送を想定した耐震性能の高い岸壁、50万人に3日間新鮮な飲料水を提供できる地下給水タンクなどの備蓄など、防災に関しては非常に考えて作られています。平時にはなかなか意識されづらい点ですが、大震災時にその本領を発揮したわけです。

みなとみらいに続き、馬車道でも開発が

山手町・本牧からみなとみらいへと高額物件が広がってきた横浜ですが、みなとみらいの開発の完成が見え始めてきた今、それがさらに拡大しつつあります。みなとみらいと旧来からの横浜の中心地である関内地区との結節点に位置する北仲地区で再開発が行われているのです。

北仲地区

横浜市中区北仲通地区(2018年8月撮影):現在開発中の北仲地区。海辺、歴史に最新技術が融合した新しいまちとなる予定だ

このエリアはみなとみらい線馬車道駅に隣接、北と西で大岡川河口に面するウォーターフロントで、横浜第2合同庁舎、倉庫などに利用されてきた土地。歴史のある倉庫、石積護岸などが残されており、開発はそうしたものを残しつつ、新たな水辺の賑わいを生もうというものです。

「8ブロックに分けられた現地では、2020年完成予定の横浜市最高層となる56階建てのタワーマンション、2019年竣工予定の客室数2311室の超高層ホテルなどが建設中です。ブライダル施設などの建設に加え、さらに3棟ほどのタワーが建てられるだけの土地もあり、2020年以降には馬車道に新たな中心地がひとつ生まれると言っても良いでしょう。弊社でも新たな居住エリアとビジネススポットとして注目しており、今後の取り扱いを増やしていきたいと考えています」。

住宅のみならず、地域に貢献する事業にも進出

住宅が増え続けている横浜中心部ですが、人が増えニーズが多様化するに従い、KENの事業も拡大しているといいます。

「神奈川県では早くからペットの殺処分を減らす取り組みをしており、犬は2013年から、猫も2014年から殺処分数ゼロを達成しています。地元の元町商店街でもリードフックや犬の水飲み場を設けるなど、ペットに優しいまちづくりをしており、私達も何かできないかと考えていました。そんな中、2017年に関連企業の株式会社シブヤテレビジョンがスタートさせたのが、犬のための総合施設『WANCOTT』です」。

ドッグパーク

WANCOTT ドッグパーク:室内でこの規模もドッグランは他にはなく、希少。大型犬でも思う存分走り回れる

フリースペース

WANCOTT フリースペース:ペットホテル部分には小さなケージではなく、広々とした空間が用意されている

リハビリ施設

WANCOTT リハビリ施設:犬も長寿化しており、加齢に伴ってリハビリが必要になることも。そうしたための施設はまだ珍しい

この施設はレイトンハウス横浜の3階・4階の2フロアを利用し、フリースペースもある106の個室形式ホテル客室・600㎡の室内ドッグラン・老犬介護施設・トレーニングルームに愛犬家同士のコミュニティを醸成するスペースなどからなっており、規模では日本最大級。2017年4月のオープン以来1年半ほどで会員登録が8000人、ペット頭数では1万頭になっており、ペットを飼っている皆様に望まれていた施設であることが分かります。会員のうち、5~6割は横浜を中心とした神奈川県下からですが、それ以外は広く首都圏全域から。車で高速道路を利用すれば羽田空港に近いことから、旅行時に預けていく人などが多いそうです。

また、2020年4月には山下公園・神奈川県庁にも近い山下町に、関連企業のケン不動産リース株式会社が開発・運営予定である「ハイアットリージェンシー横浜」のオープンも予定されています。横浜は都心から近いため、長らく日帰りで来る人が多く、ホテル自体は少なかった地域です。しかしながら、この数年、一気にビジネスホテルを中心に数が増えており、特に2022年にかけては急増しそうな勢いです。その一方で、エリアを代表するようなグレード感のあるホテルの選択は増えていない状況です。横浜駅の「横浜ベイシェラトン&タワーズ」、みなとみらい地区の「ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル」、「横浜ロイヤルパークホテル」、「横浜ベイホテル東急」、そして昭和2年開業で横浜を代表するホテルとして名高い山下町の「ホテル ニュー グランド」などいずれも一流のホテルがありますが、21世紀に入ってからは「横浜」というブランドを担うクラスに成長するホテルブランドが登場していませんでした。

横浜の開発事業

横浜の開発事業:まちに賑わいや新たな価値を付加する事業で地域に貢献していきたいと様々な事業を手掛けている

「山下町エリアに海外の人にも満足いただける5つ星のホテルという選択肢を提供させていただき、周辺のホテル・施設との協力により国際都市横浜のブランドをさらに高めていく。そんな期待をこのホテルには持っています」。

一般には低層階や地下にあることが多いウェディング会場・宴会場を、海の見える高層階に配したホテルとのことで、これまでにない眺望が話題になることでしょう。

人気エリア山手で世代交代に伴う再開発?!

それ以外にもグループ全体では総合美容企業の経営など多角化が進んでおり、今後は横浜エリアでの文化事業など地域密着のビジネスが多々計画されているそうですが、期待したいのはやはり住宅。具体的には世代交代が始まっているという山手エリアでの住宅供給です。

横浜の山手町

横浜市中区山手町:レトロな雰囲気の洋館などで知られる山手町だが、これからは少しずつ変化が起きてくるという

「山手町はかつても今も人気エリアですが、古い物件が多く、長らく新規供給がありませんでした。しかし、横浜インターナショナルスクールが2021年に本牧エリアの小港町に移転することになり、その土地の今後がどうなるかが気になるところです。さらに現在の所有者の高齢化で世代交代が始まっています。山手エリアは坂が多く生活には負担が大きいという高齢の方も増えていらっしゃるなか、『やはり山手エリアに住みたい』という居住希望者も増えているので、今後は不動産取引の活性化が見込まれています」。

KENでは、山手エリア・みなとみらいエリア以外にも、さまざまな国からの駐在員が居住する横浜ならではの高級住宅街における賃貸物件供給にも取り組んでいるとのこと。1991年に都筑に移転した東京横浜独逸学園周辺での住宅建設の相談など、外国人にも喜ばれる高品質な住宅づくりの相談が増えているようです。

「外国人向けの高級賃貸住宅の企画思想は、日本人向けの住宅とは間取り・設備・サイズなど、根本的な考え方が異なり、それを踏まえて作らないと10年~20年後にも価値の落ちない住宅にはなりません。弊社が東京・横浜で長くそうした住宅を手掛けてきた実績に期待され、個人・企業・行政などからの相談も増えており、作る側・借りる側双方からの質にこだわった賃貸住宅への強いニーズを感じています」。

独自の歴史・文化を持ち、近年の開発や企業の進出などによって東京とは異なる都市圏として認知されるようになった横浜。当然、必要とされる住宅も多様化、かつて少なかった高額物件を求める層も増えています。そこに長年のノウハウが生かされるとしたら、横浜の住はより面白いものになっていくはず。さらに、まちづくりという観点でも今後大きな文化事業の予定もあり、横浜の未来にも積極的に関わる計画とか。横浜がより魅力的になることに大きな期待を寄せたいところです。

横浜支店営業員

黒岩 弘幸HIROYUKI KUROIWA オフィス賃貸仲介のスペシャリスト

自己PR

「港町」横浜には多くの魅力があります。皆様のお住まいのサポートから事業系まで 何でも対応できる総合支店。何なりとお声掛け下さい。
■趣味:ゴルフ■出身:東京都(世田谷区)
■資格:宅地建物取引士相続診断士損害保険募集人

ディーン真実MAMI DEAN 住宅賃貸仲介のスペシャリスト

自己PR

私自身海外転勤等経験しておりますので、国内転居、海外からの転居までご相談下さい。 また、子育て中なので、お子さんの必要な情報等も併せてお問い合わせ下さいませ。
■趣味:料理、旅行
■資格:宅地建物取引主任者

上原大志HIROSHI UEHARA 売買仲介のスペシャリスト

自己PR

お客様が理想のお住まいと出逢えますよう、お力添えをさせて頂きます。お気軽にご相談下さい。
■出身東京都町田市
■資格宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスター

文・構成
中川 寛子 HIROKO NAKAGAWA

借りる、買う、貸す、建てるなど、住まいに関する雑誌、書籍、インターネットなどの編集に携わること20数年。長らく表参道に暮らし、都心居住の快適さを身をもって実感している。All About「住みやすい街選び(首都圏)」ガイド。

  • 掲載中の物件名・プロジェクト名・駅名・社員の所属などの情報は2018年11月現在のものです。