Story Vol.8 門外不出のノウハウ教えます
~初めてのオフィス選び編~

オフィス選びは、その後の会社経営や事業展開にも関わる重要な問題です。そのため、必要な予算はどのくらいか、入居までの期間はどのくらい見ておくべきか、自社の事業に適したエリアはどこか…など、気になるポイントは尽きません。これが、初めてのオフィス選びとなれば、なおさら悩みが大きいのではないでしょうか。

そこで今回は、オフィスの賃貸事情に詳しい社員たちが、普段は対面時にしかお伝えしないオフィス選びのポイント、エリアごとの特性と現在の動き、そして今後の不動産市場の変化予測について語りました。

初めてオフィスを検討されるお客様には、どういうお客様が多いのでしょうか?

以前と比べますと、インターネットで多くの情報を調べることができますので、初めてといえども、ご相談をいただく前から知識が豊富なお客様が多いです。ただ、万人に向けたインターネットの情報ではなく、お客様の事業や環境を考慮した個別のご相談が必要なら、些細なことでも直接ご連絡いただいたほうが早いと思います。

また、初めてのオフィスなら、10坪~50坪の範囲で物件を探される方が多いです。もちろん、予算を重視されるお客様も多いです。先にお客様のほうで予算が決まり、その範囲で物件を探されるパターンですね。そして、住所が会社のブランディングに関わると考えるお客様が多く、立地も選定のポイントとなります。

「広さ・予算・立地」を重視するお客様が多いとのことですが、他に事前に検討しておいたほうが良いことはありますか?

借りた当初は不満がなくても、事業規模の変化、使い勝手の面で不具合が出てくることもあります。例えば、営業力を強化したいから駅に近い物件にしたい、女性社員が増えてきたから男女別のトイレにしたいということも考えられます。新たにファッション事業を始めたら銀座や青山など、ブランド力が高いエリアに移りたいということもあるでしょう。先のことを見据えてオフィスを考えるべきです。

その通りです。業務上、多くのパソコンが必要になり想定より光熱費がかさんでしまった。来客数が増えたため給湯エリアやトイレは専用部分ではなく共用部分が良かった。同じビルに入っているテナントの業種によりエレベーターがなかなか来ない、など。どのような「先」があるかは、お客様にも分からない部分が多いと思いますが、どんな些細なことでもご相談いただければ、少しでも先を見据えたアドバイスができるよう心がけています。

オフィス探しは物件の選定、物件の決定、申し込み、契約締結という流れとなります。小規模物件で、オーナー様のご理解をいただければ2週間程度でまとまるケースもありますが、書類をしっかり精査する必要があれば1カ月はかかります。ただ、オフィス物件はレジデンスと違い、小規模物件でも解約予告は契約満了の3カ月前が多く、ある程度の面積を超えると6カ月前が標準的な期間となります。従って、解約通知後から契約満了日までは「空き予定」となり、すぐに借りられない物件もあります。そこを加味しますと、物件探しに3カ月~4カ月間は見ていただいたほうが、選択肢は増えます。現在は空室率が低く、良い物件はすぐに成約してしまいますので、小規模オフィスでも物件探しは早めに始めることをお勧めします。

飯田橋支店 立松 慎平

飯田橋支店 立松 慎平

ビル営業部 松山 新伍

ビル営業部 松山 新伍

それでは、実際に複数のオフィス物件を検討する段階になったとき、注意すべきポイントを教えてください。

オフィス仲介では、総務部長様や間接部門の担当者様と直接やり取りして物件を探すことが多いのですが、社長様や外資系なら本国の契約者様など、最終決裁者様の意思と違ってきて、意見が二転三転するケースが必ず出てきます。お客様のほうでもできるだけ複数のプランを並行してご検討いただくことが大切だと思います。

当社では、「松竹梅」のプランをご提案し、選んでいただくようにしています。例えば、50坪100万の物件を基準にして、「35坪なら、こんなに良質なビルに入居できますよ」とご提案をすることも。さらに、当社はレジデンスタイプの物件も取り扱っていることが強みですので、50坪や80坪の広い面積で、レジデンスタイプの事務所として使える、という当社独自のご提案も可能です。担当者様が、社長様に報告しやすい状況を作るようにしています。

似たような物件は、必ず、お勧めする物件とお勧めしたくない物件を分けて考え、お勧めできる物件に理由を付けてご説明していますので、ぜひ参考にしていただきたいです。ビル物件の募集は独特のルールがあり、100坪の物件でも、事務所が100坪である場合もありますし、エレベーターやトイレなど全部入れて100坪と算出している場合もあります。後者の場合、同じ100坪でも、使える面積は80坪ということがままあります。そこは法律で明確に定められていないため、曖昧です。

お客様には、オフィスに求めるいくつかの条件に、あらかじめ優先順位を付けておいていただけるとスムーズです。私たちとしてはご提案の労力を惜しむことはありませんが、何度もお客様にお時間をいただくことを避けたいのです。優先順位をお聞かせいただければ、ニーズを踏まえた的確なご提案が、すぐに実行できます。

銀座支店 森内 寛美

銀座支店 森内 寛美

横浜支店 乗松 和明

横浜支店 乗松 和明

これから東京オリンピック前後まで、不動産市場は変化するといわれていますが、実際はどうなのでしょうか?

現在、オフィスビルの空室率は3%台で、リーマンショック前と1%しか変わらず、オフィス業界的には景気が良いです。私たちも空き物件数が少なくて、提案できないケースもあるほど。今の不動産市場は完全に売り手市場です。

2018~2019年に、都内で多くのオフィスビルが建設される予定です。競合の貸しビルが増え、人気エリアでも空室率が上がり、物件を選びやすくなるのではないでしょうか。この現象は2003年に六本木で大型オフィスビルができ、オフィスの供給量が増えたときと同じです。一方で、人気の高いビルに入居するのは引き続き難しく、オフィスの二極化が進むでしょう。逆に、希望エリアから少し足を延ばすことをいとわなければ、希望に近い物件を見つけやすくなります。

横浜の大型ビルの空室率は現在約5%で、1年前は約5.5%でした。空室率の低下とともに賃料が若干上がり始めています。一方で、決まらない物件はいくら値段を下げても決まらない状況です。ただ、オリンピックのタイミングで横浜市の市庁舎が関内から馬車道に移転する予定があり、官公庁関連の企業も馬車道周辺に移るでしょうから、エリアごとの賃料が大きく変化しそうです。

それでは、実際に複数のオフィス物件を検討する段階になったとき、注意すべきポイントを教えてください。

渋谷区は、IT関係の会社に人気が高く、東京オリンピック後には新しい大型ビルが3棟建つ予定です。大企業や付随する企業も移転を計画中で、街の様相は一変するでしょう。日本を代表するオフィスブランドエリアの1つになるのではと予想されます。

港区は、新橋・六本木・赤坂・青山に大きく分かれます。新橋はサラリーマンの街、六本木は外資系の街、赤坂はさまざまな企業が本社を置く屈指のオフィス街、青山はデザイナーズ物件などが多くオシャレな街というように、各エリアの街並みがまったく異なります。新橋はJRの各線と東京メトロが使えるので利便性が良く、営業の会社が多いです。六本木はオフィスワーカーが多いため、利便性というよりはオフィス内の環境を整えたいというニーズが多いです。

銀座で一番話題性があるのは、松坂屋跡地に建った商業施設系のオフィス「GINZA SIX(ギンザシックス)」です。これまで大型のオフィスがなかった銀座にとって、シンボリックな建物となりました。また、以前から新聞社や関連会社、リクルートや電通の分社やお取引先のオフィスが多くあります。霞が関や内幸町にアクセスしやすいことから弁護士・税理士・司法書士などの事務所も多いです。東京駅界隈は家賃が高く、空室もほとんどありませんが、八丁堀や茅場町エリアなら、家賃が少し控え目になって、東京駅まで徒歩圏内です。価格重視なら人形町エリア・清澄白河エリアという選択肢もあり、ベンチャー企業の進出が増えています。

飯田橋は、ピンポイントで「飯田橋のオフィスを探す」というお客様は少なく、中央線沿線でお探しのお客様が、結果的に飯田橋のオフィスに決められることが多いです。飯田橋は新宿や東京へのアクセスが良く、千葉や埼玉、横浜など、いろいろな場所から通勤する社員に対応できます。千代田区・文京区・新宿区に隣接した地域で、3つの異なる特徴を持つエリアからオフィスを選ぶことができる点も、メリットの1つです。

横浜周辺では、横浜・みなとみらい・関内・馬車道・山下町・新横浜・川崎がメインのオフィスエリアとなります。特に使いやすいのが、利用できる電車の路線が多い横浜駅で、人材派遣業など多くの人を集めたい企業様は、横浜駅近辺で物件を探されることが多いです。先進的で大型なビルを探す場合はみなとみらいです。関内は行政施設、官庁関係の集まっているため、各営業所はもちろんのこと、士業の方に人気です。馬車道、山下町は横浜らしい雰囲気が今でも残っています。新横浜は新幹線が通りますので、関西方面に本社や支社を持つ企業様が探されることが多いです。川崎は東京にも近いため、東京本社をまるごとご移転される企業様もいらっしゃいました。このような特徴を踏まえ、お客様のご希望に近いところで、良い物件をご紹介していきます。

2020年前後の再開発により、渋谷駅前の様相は大きく様変わりをする予定です。

銀座六丁目交差点にオープンした巨大商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」。上階には、7層にわたるオフィスフロアがあります。

再開発の機運が高まる飯田橋駅周辺エリア。その中でいち早く、2014年に大型施設「飯田橋グラン・ブルーム」が竣工しました。

新横浜駅入口交差点で撮影。新幹線アクセスが良く、関西・東海地区に本社・支社がある企業の支社が集まっています。

オフィス物件を探す場合、そのパートナー選びも重要だと思います。失敗しないためにはどのような不動産会社をパートナーとして選ぶべきでしょうか?

扱う情報量が多く、サポートが手厚い不動産会社を選ぶべきです。オフィス物件を探す上でどのような点を重視するかはお客様によって異なりますが、情報が多く、手厚いサポートがある会社なら、幅広いニーズにしっかり対応してくれるでしょう。狭い視野でしか物件探しができない不動産会社ですと、選択肢が狭くなり、後になって「この部分をもっと考えておけば良かった」と後悔する事態になりかねません。さまざまなノウハウを持ち、提案できる不動産会社をパートナーにすることをお勧めします。

当社は、レジデンスもオフィスも扱う総合不動産会社です。オフィスのご相談をいただいた会社の、社長様のご自宅もお世話させていただくといった、中長期的な視野でのサポートが可能です。業務知識が広く、提案力があり、きめ細かなサポートに自信があります。初めてのオフィスでお悩みの方は、ぜひ率直なご意見をお聞かせください。当社からご希望に添った物件をご紹介いたします。

掲載中の物件名・プロジェクト名・駅名・社員の所属などの情報は2017年8月現在のものです。