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2000年代初期から各種の住みたいまちランキングで常に選ばれてきた吉祥寺に、ケン・コーポレーションが支店を出したのは1985年。世の人達が注目する以前からこのエリアの変遷を見てきたわけですが、ここ数年、その変化は一段と加速しています。現地を知り尽くした営業員の皆さんに現状とこれからについて伺いました。
JR吉祥寺駅北口より徒歩約1分に位置する吉祥寺支店
単身者からファミリーまで広い層に人気のまち・吉祥寺はJR中央線、京王井の頭線が交差しており、新宿から15分、渋谷から20分強と都心からほど良い距離にあります。その距離感が独自の魅力を生んでいると吉祥寺支店で売買を担当する渡邊竜彦さん。
「都心では売買物件の価格が高騰、それに伴い、以前より広い範囲で物件を探す方が増えています。といっても交通、生活の利便性を重視するとそれほど都心から離れたくないという場合に適地として上がるのが吉祥寺です。駅前には大規模商業施設、商店街もあり、加えて個性的な飲食店なども集積するなど、独自の文化もあるので見方によっては、利便性は都心以上かもしれません。加えて不動産としては戸建てが多く、広さが得られます。
また、ファミリー世帯にとっては桜の名所でもある井の頭恩賜公園など周囲に点在する自然の豊かさも魅力。子どもやペットとの暮らしには欠かせない存在といえます」
吉祥寺支店 渡邊竜彦氏
吉祥寺支店 立山泰史氏
もうひとつ、大きな魅力は教育環境と賃貸仲介を担当する立山泰史さん。中央線沿線、京王井の頭線沿線を中心としたこのエリアには私立の小中学校から大学まで多くの教育機関が集まっており、それがファミリー層を惹きつけているというのです。
「高校生、大学生なら気にならないかもしれませんが、小学生を電車通学させるよりは学校の近くに住もうという選択をされる方が少なくありません。具体的には明星学園、立教女学院、成蹊小学校などへの入学を機に引っ越したいというご相談です。それ以外でも早稲田実業初等部(国分寺)や桐朋学園小学校(国立)などの私学への通学を優先して住まいを考える方は非常に多く、ファミリーの場合、8割、9割は教育面を意識して吉祥寺エリアを選ばれています」
ちなみにこの傾向は吉祥寺支店が取り扱う成城学園エリアでも見られるとのこと。
「小田急小田原線には玉川学園、成城学園と2校の私立校がありますが、ご相談が多いのは成城学園エリア。比較的平坦で緑の濃い自然も豊かなエリアで、広い一戸建てを探す方が大半。賃料50万円前後の大型戸建ても、都心から探しに来る方ですぐに決まります。都心から教育環境を求めて吉祥寺、成城学園周辺で賃貸住宅を探す方々は坪単価が高くても、それ以上に質の良いものを求めていらっしゃるからです」とは賃貸担当の中村まどかさん。
吉祥寺支店 中村まどか氏
吉祥寺というまちそのものがそもそも人気というわけですが、その中でも特に人気を呼んでいる物件があります。「たとえば」と中村さんが挙げてくださったのは他にない、吉祥寺ならではの賃貸物件。
ル シエル井の頭公園 外観
「2021年に竣工したル シエル井の頭公園は吉祥寺らしさ全開、このまちらしい物件の代表格。井の頭恩賜公園に面した低層、15戸のマンションで年に1、2回空室が出ますが、空室情報を出した途端に申込が入ります。築5年ですが、年々賃料もアップ。それでも公園隣接、住戸によっては桜や井の頭池の水面が臨める立地は他にありません。1階には公園の木々を借景にできる広い専用庭がある住戸もあり、どの部屋も魅力的です」
井の頭恩賜公園は42㏊という広大な都立公園ですが、意外にこうした公園を臨むような物件は少ないため、数少ない公園至近の物件に人気が集中しているのです。
吉祥寺だけでなく、成城学園でも広い戸建てが人気とは前述した通りですが、最近では教育のためという要件に加え、駐車場の広さも決め手になりつつあります。
「2000年頃から都心の大型物件はタワーマンションが中心。そのため、駐車場はあっても機械式で入る車両のサイズに制限があるケースがほとんど。そうするとポルシェのカイエンやメルセデス・ベンツのGクラス(ゲレンデヴァ―ゲン)、ランドローバーなどは駐車場に入りません。特にハイルーフ車は、都心部では駐車場探しが非常に難しく、いくら予算があっても物件がないということもしばしば。ところが、戸建てなら車高が高くても問題ありませんので、愛車のために戸建てを求めて吉祥寺にということもあるわけです」(渡邊さん)
都内でも人気のお花見スポット・井の頭恩賜公園
武蔵野三大湧水池・井の頭池
吉祥寺周辺ではこの地域らしさを満喫できる立地、広さの物件が高い人気を誇っていますが、「現状ではそのニーズを満たす物件が潤沢にあるわけではないのが残念なところ」と吉祥寺支店支店長の鈴木稔さん。2016年6月から吉祥寺支店に勤務、この10年ほどでそうした高品質な物件が増えつつあるものの、まだまだ、ニーズに応えられていないところがあるというのです。
「都心部では不動産ファンドが利回りの最大化を目標に物件を建設、運営していますが、吉祥寺では地元の土地所有者が賃貸住宅を手掛けることが多く、最大化までは目指していないケースが少なくありません。
ただ、実際にはより良い物件が求められていますし、住宅建設や維持管理には以前よりも費用がかかるようになっています。長期に渡ってきちんと維持し続けるためにはそれに見合った収益を上げる必要があります。
特に吉祥寺駅や井の頭恩賜公園周辺は古い建物が多く、まち自体に人気があるので古いままでも借りる人はいますが、少し手を入れればもっと価値を上げることができます。ご自身の財産を守り続けるためにも建物を維持するだけでなく、リノベーションなどで価値向上を図る選択肢もあるのではないでしょうか」
吉祥寺支店支店長 鈴木稔氏
現場からはせっかく求められているのにそれに応じた物件をご紹介できないことの残念さも聞きました。
「70~80万円、場合によっては100万円ほどの予算で良い物件をと探していらっしゃる方にご紹介できるのが築40年、賃料30万円の一戸建てという状況は最も顕著な例で、私たちももどかしさを感じます。良い物件があれば選んでいただける地域ですから、この齟齬はもったいないとも思います」と立山さん。借りたい人がいるのに借りる物件がない状況というわけです。
その状況が2025年以降、大きく変わり始めています。これまでの吉祥寺にはなかった高額、高品質な物件が相次いで登場しているのです。例えば、井の頭公園周辺でリノベーションした物件では、緑豊かな眺望や自然に溶け込む屋内空間といった付加価値を備えており、このエリアでは例の少なかった坪単価2万4000円を設定しました。
「長年、吉祥寺の不動産を見て来た私でも、この賃料で借りる人がいるだろうかと一瞬思いましたが、海外から帰国された日本人の方に借りていただきました。吉祥寺は高額な物件でもその価値があれば選ばれるまちだということ、首都圏だけでなく、近隣エリアでも相場が動き始めていることをつくづく実感しました」と鈴木さん。
新築分譲マンションでは吉祥寺南町で坪単価が1000万円を超える物件も登場しており、賃貸だけがこれまで通りというはずはありません。良いものを作れば選ばれるのです。しかも、現状、吉祥寺では築年数の古い建物が中心です。それをリノベーションすることで新しいチャンスが生まれる可能性が高まってきているのでしょう。
もう1軒、話題を集めているのが、JR中央線西荻窪駅を最寄りとする、2025年12月竣工の賃貸専用マンションです。
2025年12月竣工 西荻窪駅最寄りの賃貸専用マンション 外観
「賃貸専用の新築物件で賃貸6戸、オーナー住戸1戸という構成です。専有面積は100㎡前後、全住戸が角部屋、リビングは二面採光となっており、地下にはトランクルーム、平置きのシャッター付駐車場も備えられています。ただ、広いだけでなく、グレード感のある建物で、これまでのこのエリアには少ないタイプの物件。坪単価は2万5000円ほどですが、早々に決まりました」と中村さん。
こうした物件の登場は不動産市場だけではなく、地域にもプラスの影響を及ぼしていると鈴木さん。良い不動産は地域の価値を上げるというのです。
「吉祥寺に限らず、日本全体は今、世代交代の時期を迎えており、更新が必要な建物、活用を考えるべき空地も多々ある状況。それをどう今の時代に求められるものにしていくかは所有者ご自身、ご家族のためにも、地域のためにも大事だと考えています。
敷地いっぱいにぎちぎちに建てられたアパートにするのか、緑の庭を残した一戸建てにするのかは地域の景観、環境に影響します。良い物件を作ることはまちの風景を将来に残していくことに繋がります。
また、吉祥寺エリアでは新たな分譲マンション、賃貸でもある程度の規模の住宅を建てるほどまとまった土地は少なく、それを考えるとゆとりのある一戸建ては他にない競争力を持ちます。地域に貢献でき、かつそれが子孫のために安定的な収益を生んでくれるというわけです。そうした地域事情を踏まえ、地域に不動産を所有する皆様にはこれからの地域の将来を見据えた質の高い物件を検討していただきたいものです」
最後に、今回お話を伺った営業員にこのまちのお勧め地域、ポイントを上げていただきました。まずは鈴木さん。
「吉祥寺の良さは自然、利便性、商業施設の懐の深さなどのバランスが良い点と思っていますが、それを特にが実感できるのが吉祥寺本町4丁目。東急百貨店の裏のゾーンで、吉祥寺らしい雑貨店、飲食店が並び、そこを通って自宅に帰れます。住環境の良さを感じつつ、家までのわくわく感も楽しめ、徒歩10分が豊かな時間になるはず。このエリアで物件が出たら買いですね」
渡邊さんのお勧めは吉祥寺南町1丁目。井の頭公園に向かうエリアで、ここは飲食、商業に加えて緑があり、ぶらぶら歩いているだけで楽しい。
「行きかう人達が個性的で楽しそうなのもポイントでしょう。都心のビジネス街を歩いている人達とは雰囲気が違い、ここが生活を楽しむまちであることが分かります。引っ越してきたら散歩が趣味になるかもしれません」
本町新道とサンロード商店街
古着店が並ぶ吉祥寺南町1丁目の七井橋通り
立山さんのお勧めは三鷹駅も使える御殿山エリア。
「吉祥寺周辺の閑静な住宅地の代表格と言えるエリアで、すてきな住宅が点在しています。そのうちでもお勧めは玉川上水沿いを三鷹駅に向かう御殿山通りで、駅に向かうと右手に緑があり、朝などは静寂ですがすがしい雰囲気。1日の始まりにふさわしい場所です」
最後に中村さんのお勧めは東急裏と呼ばれるエリアを中心に広がる飲食店などの店舗。
「吉祥寺は、個人が営業する本格的だけれど、格式ばらずに楽しめるお手頃な飲食店などが多く、それがこのまちらしい雰囲気。気取らないけれど、こだわりはあるといえば良いでしょうか。味、価格、店の雰囲気などの良さに加え、この地域には子連れで入れる店も多く、ファミリーで楽しめる場が多いのも魅力。また、教育観点では大手の学習塾、進学塾がほぼ全部揃います。雰囲気だけでなく、実質も伴うまちということでしょう」
一言で吉祥寺といってもいろいろな表情があるまちでもあり、不動産も多様。広い層から愛されているのも分かる気がします。買いたい、借りたい、不動産を活用したいと思うなら、そんな吉祥寺を良く知る営業員がいる吉祥寺支店を思い出してください。
【取材協力】吉祥寺支店
(株)東京情報堂代表。街選びのプロとして首都圏のほとんどの街を踏破した、住まいと街の解説者。早稲田大学教育学部で地理・歴史を学び、卒業後は東洋経済、ホームプレス、東京人その他の紙、ウェブ媒体で編集者、ライターとして記事、書籍等を手がけており、主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)、「解決!空き家問題」「東京格差」(ちくま新書)その他著書、かかわった本多数。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。宅地建物取引士、行政書士有資格者。
掲載中の施設名・駅名・社員の所属などの情報は2026年3月現在のものです。