Story Vol.26 「東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンス」が分譲に。
築年を超えて選ばれる魅力の作り方

2016年に話題になった東京ガーデンテラス紀尾井町の誕生から10年。歴史あるお屋敷街立地という他にない条件から羨望を集めてきた高級賃貸レジデンスが分譲されることになりました。そもそも住宅がほとんどない立地の希少性などもあって、その人気は賃貸時以上に熱いものに。空室が出ても情報公開前に決まる状態が続いていたため、ほとんど知られていない同物件とともに、築年数を超える価値の生み方についてご紹介しましょう。

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンス エントランスホール

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンス エントランスホール

長年かけて検討、土地の格式にふさわしい高品質な建物を建設

現在、東京ガーデンテラス紀尾井町のある土地は多くの方がご存知の通り、江戸時代には徳川御三家のうちの紀伊徳川家、尾張徳川家、そして彦根井伊家の屋敷があった場所。そこから紀尾井町という町名が生まれ、明治以降は伏見宮邸、北白川宮邸などとして使われてきた土地でした。

その後、1983年に通称「赤プリ」として親しまれたグランドプリンスホテル赤坂が開業。2011年の閉館を経て2016年に東京ガーデンテラス紀尾井町が誕生するのですが、ケン・コーポレーション企画部が当時のオーナーである西武プロパティーズから最初に相談を受けたのは閉館以前の2009年のことでした。

「最初は該当するエリアの賃貸市場を知るためのレポートに始まり、開業までの7年間余、配棟計画から賃貸部分のコンサルティングまで住宅に関してはありとあらゆる部分の業務に携わりました」と企画部の浅見陽子さん。

「歴史に加え、強固な地盤、複数路線や充実した商業施設等が利用できる利便性の高い立地に緑に恵まれた環境、そして足元には東京都指定有形文化財である赤坂プリンスクラシックハウス。都心部でもこれ以上に住まいに求める条件が揃う場所はほぼなく、土地の格式に関心のある人であれば得難い場所です。当然、それにふさわしい高品質な建物を作ろうと考えました」(浅見さん)

企画部 浅見陽子課長

企画部 浅見陽子課長

住宅営業部 久野真弘執行役員

住宅営業部 久野真弘執行役員

というのは「不動産の価値は立地とそこに建つ箱、つまり建物の質で決まるからです」と住宅営業部担当の執行役員・久野真弘さん。

「立地は変えられないもので、その価値は長く変わりません。優れた立地を選んでおけば、その優位性も変わることはありません。建物も同様で、最初に質の高い空間が作られていれば築年数が経っても内装、設備を更新するだけで容易に新築同様にアップデートできます。その2つが揃っていれば不動産の価値は維持されますし、場合によっては希少性が加わり、高まることすらあります」

そこでたとえば、東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンスの最高天井高は一般階で2,800㎜、18~21階はさらに高く3,000㎜で作られています。当時からするとかなり高く作られており、10年後の今でも十分に高く、他の物件にない豊かな空間になっています。こうした最初から作られていた質の高い空間が今も人を惹きつける魅力のひとつになっているわけです。

実際、賃貸時には長く住み続ける人が多く、中には最初の募集時からずっと住み続けてこられた方もいらっしゃるほど。

「住むとその良さが分かるのでしょう、竣工時からお住まいになっている方や、一度退去されたものの、やはりここが良いと戻ってくる方などもいらっしゃり、空室が出ると一瞬で決まる。そのため、弊社社員でもこの物件を内見したことがないものは少なくありません」(浅見さん)

ラウンジ

ラウンジ

入居者お一人ずつに分譲となることを説明、購入をご提案

知る人ぞ知る人気物件だった東京ガーデンテラス紀尾井町が売却されたのは2024年年末のことです。

「弊社とは以前から高額賃貸の仲介、PMなどで付き合いのあるアメリカの投資ファンド・ブラックストーンが購入、その後、しばらくして1棟をまるごと分譲にしたいということで相談を受けました。そもそも、現在のご入居者さまに対してどう説明していくか、半年ほどはそうした準備を行い、その後、ご入居の皆様にお一人ずつお目にかかって経緯を説明、購入が可能であることをご案内しました」(久野さん)

販売方法としてはまず現在のご入居者を優先、現在お住まいの住戸あるいは他の住戸を希望されるのであればそこを購入いただく形に。購入を希望せず、賃貸で住み続ける方は契約満了までお住まいいただき、その住戸はテナントのある状態で売却を進めるということになりました。

「従来の賃貸借契約は定期借家契約となっており、ご入居者によって満了期間は異なります。そのため、全135戸を空室にしてから売却となるとあまりに時間がかかりすぎます。そこでまずはお住まいの方への売却を進めることとし、状況を見ながら内々にそれ以外の、弊社と以前からお付き合いのある方々にご案内を始めました」と久野さん。

「当初は購入のご意思がなかった方、購入できるならもっと広い住戸が欲しいという方、2戸以上の複数戸をお求めになる方、契約満了で一度出られた方の購入などもあり、皆さん、ここなら買いたいと。不動産に知見のある方であればここがどれだけ稀有な立地で、競合のない物件なのかはお分かりになるはず。であれば手に入れておきたいと判断されたのだと思います」(久野さん)

(左)中川寛子氏 (中央)ケン・コーポレーション 住宅営業部 久野真弘執行役員 (右)企画部 浅見陽子課長

(左)中川寛子氏 (中央)ケン・コーポレーション 住宅営業部 久野真弘執行役員 (右)企画部 浅見陽子課長

共用部を中心に建物の成熟度を加味したリノベーションを実施

東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンスでは共用施設は1階にまとめられており、売却にあたってまずはそこをリノベーションしています。

「竣工後10年経っており、経年変化もあることから印象を一新すべく、数億円をかけて共用部のバリューアップを図りました。誕生時のコンセプトは「自然と文化の共鳴」。オーク調の木を多く使用していましたが、リノベーションではそこから10年という歳月を経たことを意識、コンセプトを深化させ、「時を経て織りなす文化、歴史」に置き換えました。若々しく、フレッシュ感を打ち出していたところに円熟味を加えたといえば良いでしょうか、落ち着いた雰囲気が好評です」(浅見さん)

たとえばメインエントランスホールで従前はアートを彩る壁面、格子状の間仕切りのナチュラルさが印象的でしたが、リノベーションでは従前よりも黒を基調にした色味が加えられています。また、歴史を思わせる網目調のデザインをあちこちのアクセントとして配されているのも印象的。家具、小物類、アートなども刷新されています。

エントランスホール

エントランスホール

また、以前から利用者の多かったパーティールームはスケルトンにしてフルリノベーション。食事メイン、4人掛けのテーブルの多かったスペースをよりラグジュアリーな場に仕立て直しています。

「使い勝手優先からもう少し雰囲気のある、大人の空間にというリノベーションです。具体的にはソファ席を増やし、バーカウンターには本格的なハイスツールを配しています。お堀に近い立地をイメージ、天井には水の煌めきを感じるオブジェ、壁は石とアートで石垣と水面を表現しています」(浅見さん)

パーティールーム

パーティールーム

そしてもうひとつ、改めて感じるこの物件の魅力があると久野さん。

「東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンスでは135戸に対して88台分の駐車場をご用意していますが、それが平置きでしかも、大型車でも隣を気にせずに乗降が可能なほど1台ごとにかなり広いスペースを用意しています。車寄せも数台同時に使えるように作られており、同じタイミングで複数台入ってこられても渋滞することがありません。ご入居者のうちには運転手付きの大型車を利用されている方も多く、そうした方にとってはそれも購入の決め手になっています。10年という年月を経て、今は都心部でゆったり使える平置き駐車場は希少になりました」(久野さん)

駐車場

駐車場

賃貸入居者の購入ケースも、135戸がすでに完売間近

リノベーションでいえば各住戸のリノベーションはどうしたのだろうと思われるでしょう。結論から先にお伝えすれば、多くの住戸は大規模なリノベーションを施さないまま販売がなされています。

「当初は全戸リノベーションが必要かもしれないと考えていましたが、お住まいになられていた方がそのまま住んでいた住戸を購入されているケースもあり、それらの住戸はリノベーションのしようがありません。それ以外の住戸は現況を見てそのまま買っていただけることがほとんどで、設備等でコンディションの悪いものは新調していますが、そうした住戸はそれほどありません。その結果、実際にはほとんどリノベーションすることなく売れています」(浅見さん)

それだけ売れ行きが順調なのですが、販促のためにモデルルームは設置されています。

「富裕層の中でもアッパー層に訴求しており、となるとよくある間取り、設えの部屋をモデルルームにしてもご満足いただけないだろうと眺望を最大限に生かすように間取りを変更、手作業の質感のある建具、折上天井、ホテルライクな水回りにバリューアップしたモデルルームを用意しました。見学の方々にも、現在ご入居頂いている方にも気にいっていただけており、ご入居の他の住戸の方々から自分の住戸もこうした仕様にリノベーションして欲しいというご依頼を頂いています」(浅見さん)

リビング

リビング

バスルーム

バスルーム

取材の2026年8月時点で135戸がすでに完売間近。これからはまだ賃貸入居者がお住まいの住戸を販売する予定で、同じタイプの部屋をご覧いただいてご検討いただく形になります。ご購入者の多くはこの土地の歴史を知る日本人の方々。自宅になさる方以外に東京に拠点をと考える全国の経営者の方々なども多いと聞きました。

2009年から17年以上に渡り、東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井レジデンスの企画を担当してきた浅見さんは誕生から10年経って再び同じ物件に携われるのは感慨深いとした上で、当時のこだわりが現在も評価されていることが不動産の価値を考える際のポイントと指摘します。

「あの時、こだわった部分が今も高く評価され、それが決め手となって購入されています。良い場所に良いモノを作ればいつまでも愛される建物になる。当たり前のことですが、これからも10年、20年とこのクオリティを維持し続けていただきたいものです」

久野さんは賃貸から分譲になって以降もご購入者の方々との関係は続くと考えています。

「人生で何度も不動産を売買、賃貸するような方々とお付き合いさせていただいており、売ったらおしまいという考えはありません。この先、人生のステージが変わった時点で、代替わりでとさまざまなタイミングでより良い不動産に巡り合えるようにお手伝いさせていただきたいものです」

長く価値を維持し続ける不動産の条件としては立地、建物が大事とは久野さんの言葉ですが、そこには同時にそれを実現し、活かし続ける人の力も必要なのかもしれません。

集合写真

【取材協力】国内部・住宅営業部・企画部

【文・構成】中川 寛子 HIROKO NAKAGAWA

(株)東京情報堂代表。街選びのプロとして首都圏のほとんどの街を踏破した、住まいと街の解説者。早稲田大学教育学部で地理・歴史を学び、卒業後は東洋経済、ホームプレス、東京人その他の紙、ウェブ媒体で編集者、ライターとして記事、書籍等を手がけており、主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)、「解決!空き家問題」「東京格差」(ちくま新書)その他著書、かかわった本多数。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。宅地建物取引士、行政書士有資格者。

掲載中の施設名・駅名・社員の所属などの情報は2026年8月現在のものです。