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起業、未開拓のエリアへの進出、そして新規拠点の設立。都心へのアクセスに優れ、コストパフォーマンスも良い【みなとみらい21地区】は、経済圏が急成長しているビジネスエリアです。業種を問わない国内外の企業がオフィスを構えるなか、各社は何をメリットにこの地を選び、オフィスを作り込んでいるのでしょうか。
今回はみなとみらいの中心地のひとつとして注目される「ミュージックテラス 60・61街区」の「Kタワー横浜」に事業所をオープンした株式会社サンゲツ 西関東支社を訪問。国内随一のインテリア総合企業・サンゲツの事業所の内側には、多様化するワークスタイルや経営理念まで映し出す、オフィス空間の無限の可能性が表現されていました。
オフィス移転とその際の空間づくりを検討する企業様に、ぜひとも参考にしていただきたいノウハウが満載です。
西関東支社長 瓦口 賢志 氏
スペースデザインユニット
関東第三セクション デザイン担当
谷橋 瞳 氏
スペースデザインユニット 関東第二セクション
デザイン担当 川俣 祐人 氏
(中央左)株式会社サンゲツ 瓦口賢志氏 (右)谷橋瞳氏 (中央右)川俣祐人氏
(左)株式会社ケン・コーポレーション
横浜支店 黒岩弘幸氏
愛知県名古屋市に本社を置くサンゲツは、内装・外装から家具・什器まであらゆる空間プロデュースを手掛ける企業です。日本に住んでいれば、たとえ意識していなくてもサンゲツの壁装材や床材、ファブリックを目にしているはず。
今回訪問した西関東支社は、2023年7月の組織再編によって産声をあげた新しい拠点です。
「サンゲツの長期ビジョン【DESIGN 2030】推進にあたり、全国を5つのビジネスユニット(北日本・関東・中部・西日本・九州)に分け、地域軸で事業の高度化を目指しています。関東ビジネスユニットはさらに北関東支社・東京支社・西関東支社の3つの組織体制となりました」
そう語るのは、瓦口賢志支社長。
サンゲツ西関東支社 エントランス
一歩足を踏み入れると、ブルーとホワイトのカーペットがコラージュされた美しい模様の床が目に飛び込んできました。舵輪と錨が置かれています。
デザインコンセプトを手がけた谷橋瞳氏が言葉を続けます。
「オフィスのコンセプトは『SHIP』。新しく船出していく西関東支社の想いを空間全体で表現しているんです。船や海を連想できるようなブルーを基調とし、エントランスでは船に乗り込む波打ち際をイメージした床に、テトラポットを想起させるようなグレーのポット(鉢)も置いています」
谷橋氏は長らく自社商品のコーディネートを担当してきた色・素材・質感の組み合わせのエキスパートです。オフィスはサンゲツのプロダクト・空間総合提案・施工力を集結した、まさにサンゲツの総力戦の成果。多種多様な商品を取り入れたショールームとしても機能しています。
サンゲツ西関東支社 エントランス
谷橋瞳氏
サンゲツ西関東支社 イベントスペース「デッキ」
エントランスを抜けると、大きなフリースペースが。一気に視界が広がり、大開口窓からみなとみらいが一望できます。設計を担当したのは川俣祐人氏。
「「デッキ」と名付けたスペースをオフィスの約1/3の広さで展開しました。フリーアドレスで社員が使えるだけでなく、窓際には集中スペース、天井にはプロジェクターを設置しイベントも開催できる多目的な空間です」
床は船首を連想するようなとがった三角形のレイアウト、壁にはマリンランプや丸窓風のミラーが配されています。現代のオフィスらしい遊び心がありながら、ビジネスの場としても違和感がないのは緻密なカラーリングとプロダクト選びによって統一感を持たせているからでしょうか。
サンゲツ西関東支社 イベントスペース「デッキ」
サンゲツ西関東支社 イベントスペース「デッキ」
サンゲツ西関東支社 イベントスペース「デッキ」
川俣祐人氏
「『SHIP』というコンセプトは、まさにみなとみらいだからこそ生まれたもの。しかし、私たちがこの地に移転を決めるまでには紆余曲折がありました。社内でも多くの移転地の候補が上がり、かなり悩まされましたね」(瓦口氏)
実は前身となる横浜支店時代には、約25年間もの長きにわたり関内エリアにオフィスを置いていたそうです。慣れた土地からの移転にあたっては坪数を広げるだけでなく、多くのクリアしたい課題がありました。
「まずは、イベントやテレワーク、フリーアドレスなどの多様化するオフィス機能に対応すること。かつ、前オフィスはいかにも旧来の事務所然としていて、事務机以外はミニマムな休憩スペースと打ち合わせスペースのみ。パーテーションでオフィスを区切っており、周囲の音が気になり商談をしづらい環境だったことも気になっていました。取引先様を快適にお迎えし、当社の他拠点の社員が立ち寄って仕事もできるくらいの自由度が欲しい。社内でも意見を募りました」(川俣氏)
そのすべてを叶える土地として、みなとみらいを選んだ決め手は何だったのでしょうか。
「長年通い慣れていて、グルメなども充実している関内にとどまりたいという社員の声もありました。他にも横浜には魅力的なエリアが数多くあります。しかし、横浜に拠点を構える以上、みなとみらいは憧れのエリアだったんですよ。1980年初頭から計画的に拡張している再開発エリアで、ビジネスのみならずレジャーや居住地として圧倒的な存在感を放っています。何より、様々な関連大手クライアントも事業所を置いています。営業アプローチとして大きな優位性がありました」(瓦口氏)
(左から)川俣氏 谷橋氏 瓦口氏
移転先がみなとみらいに決まると、社内プレゼンで案を出し合い、多数決をとりながらコンセプトを作っていったそうです。
・サンゲツのビジネスである「スペースクリエーション=S」
・他の社員が立ち寄って働ける「ハブ機能=H」
・イベントなどを開き新商品のお披露目もできる「インフォメーション発信基地=I」
・遊び心を持って働ける「プレイフル=P」
「そのアルファベットを合わせた「SHIP=船」に、みんなで乗り込もうと」(谷橋氏)
働く一人ひとりの声をきき、全員が当事者意識をもってオフィスをイメージしていく。これから新オフィスを検討している企業にもぜひ取り入れていただきたい心構えではないでしょうか。
サンゲツ西関東支社 イベントスペース「デッキ」
サンゲツ西関東支社 執務スペース「ブリッジ」
イベントスペース「デッキ」とつながる執務スペースの名前は「ブリッジ」。デスクとチェアがメインになる構造上、雰囲気もおとなしくシンプルに寄りがちな空間ですが、ナチュラルカラーで統一された暖かみがある室内の随所に、サンゲツならではの創意工夫が見られます。
「普通のデスクに加えて、カウンター席、ソファー席、集中するための個室を設け、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング=仕事内容や目的に合わせて働く場所や時間を自由に選択できる働き方)にも対応できるようにしています」(川俣氏)
「港のコンテナをイメージした波板スレートを壁に貼り、空間のアクセントを利かせているのもちょっとしたこだわりなんです」(谷橋氏)
サンゲツ西関東支社 執務スペース「ブリッジ」 カウンター席
サンゲツ西関東支社 執務スペース「ブリッジ」 ソファー席
サンゲツ西関東支社 執務スペース「ブリッジ」 個室
サンゲツ西関東支社 執務スペース「ブリッジ」 会議室
さまざまなワークスタイルを選べるオフィスは「Kタワー横浜」の15階、150坪の空間にオープンしています。テナントとして「Kタワー横浜」を選んだ理由は何だったのでしょうか。
「ビルを運営するケン・コーポレーションさんとは『Kタワー横浜』建設時にサンゲツの壁紙やカーペットタイルを標準で採用いただいたころからのお繋がりでした。本格的にオフィスとして契約となった決め手は、この15階からの圧巻の眺望です。前には運河があり、今後もさえぎられることはなさそうでした。デッキでのカジュアルな打ち合わせや眺望のいい窓際で仕事をする従業員もいるらしく、想定以上に自由に使っていただいています。社員のエンゲージメントにも大きく寄与しているんですよ」(瓦口氏)
当初はKタワー横浜の低層階をご検討されていましたが、晴れている日には富士山も見えるほどの絶景を誇る15階にご入居されました。Kタワー横浜の低層階は美しい水辺を身近に感じられて人気がありますが、サンゲツのように眺望を選ぶ企業も多くいらっしゃいます。実はそのこだわりには、長い歴史を持つインテリアブランドとしての理念が関係していました。
「ただロケーションがいいだけだと思うかもしれませんが、私たちは空間を創っている企業です。プロダクトの強みをベースとした従来の事業に加え、これからは空間総合提案を含むさまざまな機能を有機的に組み合わせ、空間創造を通じたソリューションを提供する存在を目指していきます。こうした中、今回西関東支社で目指したような、空間における「世界観」や「没入感」も、新たな価値提供における重要なキーワードとなると感じています。
サンゲツグループは、『すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。』というパーパスを掲げ、誰もが明日の夢を語れる世界の実現を目指しています。その上で、音楽という文化を軸に展開されるミュージックテラスとの親和性も高いと感じています。美しい水と景色に囲まれたみなとみらいで、2万人収容の「Kアリーナ横浜」のすぐ横にあるという時代の勢いもとりこむことで、オフィスに力を宿らせていきたいのです」(瓦口氏)
ミュージックテラス(Kアリーナ横浜・ヒルトン横浜・Kタワー横浜)
今回伺ったサンゲツ西関東支社のオフィス空間は、レイアウト・内装材・家具にいたるまであらゆる要素を強いコンセプトのもとに統一し、さらに立地するエリアにも共鳴しながら企業のあり方を表現するオフィスづくりのテクニックと熱意に溢れていました。
そして最後に、瓦口支社長はこう付け加えてくださいました。
「しかし何より、『Kタワー横浜』の入居は担当者さんの熱意と対応が決め手でしたね。本来ワンフロア貸しの15階を区切って当社に割り当てていただいたり、営業が使う社用車のための駐車場も希望どおり用意していただいたり。私たちの考えを理解し、たくさんわがままを聞いていただいたと思います」(瓦口氏)
瓦口賢志支社長
せっかく移転するなら、もっとも幸福な形で入居していただきたい。ケン・コーポレーションも、オファーに最大限応えていきます。
オフィス移転を検討される企業様には、一度みなとみらい21地区を訪れていただき、またKタワー横浜をご覧いただきたいと思います。ぜひお気軽にご相談ください。
掲載中の施設名・駅名・社員の所属などの情報は2025年1月現在のものです。
壁装材、床材、ファブリックを中心に、人々の暮らしを彩る商品を生みだし、快適な空間を創造するインテリア総合企業。企業理念に掲げる「すべての⼈と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」というPurposeのもと、「誰もが明⽇の夢を語れる世界」の実現のため、事業の中心である「空間創造」を通じて社会課題の解決に取り組み、経済価値と社会価値の創出につなげていくことを目指しています。