Story Vol.29 「守る」だけでなく、積極的に「育てる」
RAが実践するプロパティ・マネジメントの真髄

2026.10.9

住宅賃貸 住宅運営管理 賃貸住宅企画
企画部
住宅運営管理部
アール・エー・アセット・マネジメント(株)

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社 執行役員 宮田秀茂さん(左)と部長代理 梅林怜奈さん(右)

不動産から収益を上げていくためには、どう経営していくかがポイント。単に建物だけを維持管理していればよかった時代はすでに遠く、時代の変化の中で求められるものも常に変わり続けてきました。価値を維持するだけでなく、高めていく、育てていくためにはどうすればよいのか。ケン・コーポレーショングループの一員であり、都心の高額物件のプロパティ・マネジメントを担い、着実な成果に加え、新たなチャレンジで道を切り開いてきたアール・エー・アセット・マネジメント株式会社に、これまでとこれからを聞きました。

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この記事のポイント

  1. 都心高額賃貸の知見と連携力で物件価値を高める
  2. 緻密な賃料設定と迅速な対応で収益を最大化する
  3. 市場変化を捉え、新たな需要と街の魅力を創出する

J-REIT創設前夜に誕生、不動産投資市場とともに業務拡大

ケン・コーポレーションのグループ会社であり、プロパティ・マネジメントを担うアール・エー・アセット・マネジメント株式会社(以下RA)が誕生したのは1998年。1990年初頭のバブル崩壊から日本経済を立て直すために、1996年に始まった日本版金融ビッグバンによる大規模な制度改革を受け、来たる不動産投資市場の大変動を予測したものでした。実際、2001年3月の東証のJ-REIT創設を契機に不動産投資市場は拡大を続けており、それに伴いプロパティ・マネジメントは不動産経営には欠かせない力となってきました。

「プロパティ・マネジメントはリーシング、テナント管理、建物維持・保全業務にレポーティング・会計業務と不動産経営に関するあらゆる分野に関わる業務で、広い視点で収益最大化を図る不動産投資には欠かせない存在です。その必要性から誕生以来、ファンド、リートからの受託を受け、右肩上がりに管理戸数を伸ばしてきており、現在は77棟、約4,900戸の管理をしています」とRA執行役員の宮田秀茂さん。

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社 執行役員 宮田秀茂さん

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社 執行役員 宮田秀茂さん

管理対象は、都心部の高額レジデンスをはじめとする住宅で、主にケンの住宅運営管理部が管理するエリアを取り扱っています。

「強みはなんといっても長年一貫して扱ってきた都心高額賃貸に対する知見とそれを培ってきたケングループとの連携です。たとえば都心高額賃貸を成功させるためには3つの知見が必要だと思っていますが、それらはいずれも一朝一夕に得られるものではありません。その3つの知見について、順にお話しします」(宮田さん)

一つ目は都心をよく知っているということ。

「不動産の立地に関して昔から使われている言葉に『地位』(じぐらい)があります。これはその土地の格を意味しており、特に都心部ではその差は大きく出ます。

同じ町内でも、ここは良いけれど、ここは少し下がるなどと違いがあり、それが価格に如実に表れます。といっても地図上に線が引かれているわけではなく、格の違いを体感で知っており、かつそれを裏付ける長年の取引の成約データを持っているから分かるもの。そうした集積がなければ微細な差は読み取れません。私たちにはそれがあるのでもっとも適切な価格設定ができますし、逆に市況が良い時期ならチャレンジすることもできます。賃料設定の正しい判断ができるわけです」(宮田さん)

※画像はイメージです

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賃料には募集賃料、成約賃料の2種類がありますが、賃料設定で大事なのは後者。高額賃貸に限定した成約賃料の集積は他社の追随を許しません。

二つ目はハイエンドの人達の好みを知り尽くしていること。

「もちろん個人差はありますが、大きな傾向として、外国人には低層で戸数の少ない小規模な、一戸建てに近い住宅で麻布界隈の立地が好まれる傾向にあります。他方、日本人はタワーマンションなど物件の規模、フロントサービス、コンシェルジュの質の高さなどを重視されることが多くあります。このように、どのような人をターゲットにしているかにより、好みや優先順位、ライフスタイルなどが異なるため、それに合わせて建物、設備、サービスなどを考えなくてはいけません。どのような人をターゲットとして考えるかは立地にも左右されますから、その観点からも場所の理解は重要です」(宮田さん)

三つ目は選ばれる物件を理解し、実現できること。

「物件を考える際には、天井の高さや必要な設備といった入居者に好まれる要素をきちんと盛り込むことに加え、維持管理のしやすさ、管理コストの適正化なども同時に考える必要があります。

高額賃貸はコストをかけないと選ばれませんが、かけ過ぎても収益に影響します。そのため、どこにいくらかけるかを緻密に検討しなければなりません。分譲の場合は、作ってしまえば以降のメンテナンスは購入者が負担しますが、賃貸では運営者がコストを負担しクオリティをキープし続けなくてはいけません。そのためには高価、高品質であること以上に機能性やメンテナンスのしやすさ、コストなども勘案、総合的に考えることになります」(宮田さん)

※画像はイメージです

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一言で知見といっても、その要素は多様でかつ、それぞれが深く絡み合っています。高額賃貸のプロパティ・マネジメントでは、まず、これら三つのポイントを正しく理解し、さらに物件ごとに組み合わせて判断できるかどうかが、提案力の差につながります。複数の要素を同時に検討し、ひとつの数字にまとめていくのは非常に複雑な作業です。

約30年間で市場は大変貌、価値を創出するために必要な2つの力

30年近く、不動産投資市場を支えて来たRAですが、この間、市場は大きく変わりました。

「ひとつ、大きな流れは高額帯の借り手の変化。当初の借り手は外国人が中心でしたが、リーマンショック、東日本大震災で外国人の借り手は減少し、その後横ばいに、一方日本人需要は拡大傾向となり、コロナ禍でそれがより顕著に。現在では高額賃貸においては日本人富裕層が中心となっています。

賃料はリーマンショック以降坪単価が急落し、東日本大震災を経て2013年頃を底に、景気同様、上昇基調となりました。コロナ禍でも影響は最小限でここ数年は今までにないほどのペースで上がり続けてきました。コロナ禍初期から比べると3割ほどは上がっているのではないでしょうか。

また、この間で高額賃貸の立地エリアが拡大。再開発などにより港区内でも今まで供給が無かった場所で物件が誕生するようになりました。併せて建物の高層化も目につくところです」同社部長代理の梅林怜奈さん

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社 部長代理 梅林怜奈さん

アール・エー・アセット・マネジメント株式会社 部長代理 梅林怜奈さん

市場が大きく、かつ速度をもって変化していく中でも、プロパティ・マネジメントに求められるのは物件の価値、つまり賃料をいかにあげていくかです。

「市場が変わっても私たちが取り組むのはクライアントのための収益最大化。そのためには前述の3つの知見による提案力に加え、私たちのもうひとつの強みであるリーシング体制が大きな役割を果たします。収益を上げていくためにはいかに空室期間を短縮できるかも重要なポイントとなります」(梅林さん)

収益最大化を実現するうえで重要な役割を果たすのが、RAのリーシング体制です。

「当社の強みは、グループ内に業界最多クラスの高級賃貸専門営業員を誇るケンの賃貸営業部門を有していることです。さらに、他社仲介会社とも独自のネットワークを構築し、幅広いリーシング活動を展開している点にあります。

ここではケン賃貸営業部門との連携についてご紹介します。当社とケンの営業担当者は日頃から密接に連携し、解約予定情報や各種キャンペーン情報などをリアルタイムで共有しています。そのため、募集開始に向けた迅速な対応や、ケンが保有する顧客への早期周知を実現することが可能です。特に高額帯においては、一般的な広告展開に頼ることなくケンの保有顧客へのアプローチのみで成約に至るケースも少なくありません」(梅林さん)

※画像はイメージです

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収益最大化のためのもうひとつは空室期間をできるだけ圧縮すること。

「解約予定情報は、原状回復工事を担当するケンの住宅運営管理部にもリアルタイムで共有されます。そのため退去前から原状回復工事の準備を進めることができ、無駄な時間を最小限に抑えることが可能です。空室期間をできるだけ発生させず、次の入居者をスムーズに迎え入れることは、一見すると地道な取り組みですが、収益最大化を実現するうえで重要なポイントです。そのためケングループでは、工事着手や完了までの期間を短縮できるよう、様々な施工会社との関係構築にも力を入れており、密接な連携を築くことで安定した施工体制を目指しています」(梅林さん)

市場創出という新しいチャレンジ、JR東日本グループとの2つのプロジェクト

最近ではこれまでになかった市場創出という新しい仕事にも取り組んできました。それが2026年3月にグランドオープンしたTAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)、OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)のレジデンスです。

「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEの場合、周辺には従来から高輪エリアを中心とした高級住宅地が形成されていましたが、建設地そのものは車両基地跡地であり、住宅地として成熟したマーケットの中で供給されたものではありません。そのため、既存マーケットの需要を取り込むだけでなく、新たなまちづくりによって需要を創出していく側面も併せ持っていました。

そこでどうやって新しいマーケットを作っていくか。具体的にはどういった物件を作ればよいのか。ケングループで、事業主/JR東日本グループの商品企画のサポートから始まり、リーシング、管理、運営、すべての面でご一緒させていただきました」(宮田さん)

TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE 外観 ※写真提供・株式会社ジェイアール東日本都市開発

TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE 外観

周囲には既存の駅のほか、この街のために新設された駅もあり、立地の利便性は言うまでもありませんが、それだけではハイエンドの方々を惹きつけることはできません。立地を生かす、相乗効果を生む建物である必要がありました。

「高額賃貸に求められる充実した共用部、眺望、フロントサービス、高いデザイン性は外せません。加えて800戸超と規模が大きいため、全体として高級レジデンスとしての統一感とクオリティを保ちつつ、階数・方位・眺望などの条件に応じた住戸の差別化が欠かせません。グレードごとのゾーニングや価値に見合った住戸面積の最適化を図ることで、商品力と収益性の双方を高めることを目指しました。」(宮田さん)

 TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE ゲートウェイラウンジ ※写真提供・株式会社ジェイアール東日本都市開発

TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE ゲートウェイラウンジ
※写真提供:株式会社ジェイアール東日本都市開発

TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE スカイラウンジ ※写真提供・株式会社ジェイアール東日本都市開発

TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE スカイラウンジ
※写真提供:株式会社ジェイアール東日本都市開発

賃料設定にあたっては、営業担当と時間をかけて協議。話題の物件であり、かつ戸数も多いことから、今後は同物件が周辺の相場を牽引することになると考えると責任は重大。周囲に参照すべき物件が少ないことから、港区内の麻布・六本木周辺や湾岸エリアなど広域から、類似する複数の物件に対して条件を重ね合わせながら慎重に進めたそうです。

「広くなればなるほど建物内での部屋の位置、向き、階数、眺望、間取りの使いやすさなどと要素が増え、比較検討が難しくなります。ここでもこれまで蓄積してきた成約データやマーケット動向、顧客ニーズなどをフルに活用しながら検討しました」(宮田さん)

一方のOIMACHI TRACKS RESIDENCE(大井町トラックスレジデンス)では主に契約についてのアドバイス、リーシングなどに関わりました。

OIMACHI TRACKS RESIDENCE 外観 ※写真提供・株式会社ジェイアール東日本都市開発

OIMACHI TRACKS RESIDENCE 外観 ※写真提供:株式会社ジェイアール東日本都市開発

「OIMACHI TRACKS RESIDENCEの場合、既存の市場はあるものの、今回誕生したのは駅直結、商業施設や広場などが足元にあり、ホテルもあるという複合施設内。しかも、古き良き商店街も近くにあるという比較するものがない物件です。そこで大井町よりも都心にある物件を想定、比較検討しながら細かく決めていったという形です」(梅林さん)

OIMACHI TRACKS RESIDENCEのリーシングも好調です。それはこれまでの地域に合った、でもこれまでなかったワンランク上の住まいが誕生したためと梅林さん。

TRACKS PARK ※画像提供:JR東日本

TRACKS PARK
※画像提供:JR東日本

 OIMACHI TRACKS RESIDENCE ラウンジ ※写真提供・株式会社ジェイアール東日本都市開発

OIMACHI TRACKS RESIDENCE ラウンジ
※写真提供:株式会社ジェイアール東日本都市開発

「地域の方々にも喜んでいただき、地域の魅力として親しまれているとうかがっています。大井町のプラスになるマーケット作り、地域の新たな魅力づくりに関われたことでひとつ、RAとしての経験値が上がったように感じています」(梅林さん)

都心部のプロパティ・マネジメントの質がもう一段アップしたということでしょう。

新築物件は供給不足、この後はリノベーション、人手不足の解消などが課題に

さて、都心の高額賃貸は現状、供給が不足している状態。一方で賃料はまだまだ上昇傾向にあります。今後の市場はどうなっていくのでしょうか。

「大規模な新築物件の供給は限られている中で、今後の計画もいくつか聞いてはいます。ただ、建築コストの高騰もあり、計画の見直し、遅れも出ており、この先の供給状況は読みにくいところです。

商材不足は解消されませんので、賃料の上昇は、しばらく続くと思われます。ただ、そこでは2極化も同時に進んでいくと見ています。現在は立地特性や物件スペックといった個別要因の優劣が賃料に反映されておらず、マーケット全体が一律に押し上げられている感がありますが、いずれは差が出てきます。物件を見る時には、今以上にそうした差に注意すべきです。実力以上に上がっているエリア・物件もありますので」(梅林さん)

(左)宮田秀茂 氏  (右)梅林怜奈 氏

(左)宮田秀茂 氏 (右)梅林怜奈 氏

また、立地が良い、でも築年数が経っている物件については建替え、あるいはリノベーションという動きが出てきています。特にリノベーションへの注目度は高まっており、増えてきてもいます。建物躯体がしっかりしていればそのほうがコスト的にもプラスです。

「ファンド業界では長く保有するよりも価値を上げてから売却という方針をとっている例も多く、その場合にはケングループの企画、売買部門などと連携、グループ全体でバックアップさせていただきます」(梅林さん)

市場や相場動向以外に今後の高額賃貸市場で気になるのは人手の問題。高額になればなるほど人によるサービスが求められるためです。

「AIの時代でもあり、それによって効率を目指す動きもありますが、フロントにはやはり人がいることが大事。いくらアプリで予約できる時代でも、多くの人はフロントに来てスタッフに声をかけます。人手が足りない、人件費も高くなる状況下にあっては、かけたコストに見合う規模の物件かどうかを慎重に見極める必要が出てきています」(宮田さん)

※画像はイメージです

※画像はイメージです

自社の保有する物件に合わせたプロパティ・マネジメントが必要ということですが、RAのプロパティ・マネジメントはクライアントの意向に合わせてカスタマイズしていると宮田さん。

「クライアントによって運用方針は違いますから、それに合わせてプロパティ・マネジメント業務も変わります。クライアントにより使用するシステムも異なるため、それぞれに合わせた運用を心掛けています。」(宮田さん)

プロパティ・マネジメント会社の変更は手間とコスト、パワーがかかるため、従前から依頼していた会社から切り替える事例は少なく、RAに声がかかるのも新たに物件を取得したタイミングが大半。そうそう変えられるものではなく、変えないほうが良い場合もあります。

「弊社の場合には都心高額賃貸に強みがあり、また、ケングループの総合的な力を期待する方には他にない力を発揮できると考えています」(宮田さん)

不動産は、高額になればなるほど、わずかな違いが価格や賃料に大きく影響します。立地、建物、間取り、設備、眺望、サービスなど、多様な要素をどのように組み合わせ、物件の価値をより高めてつなげていくか。人が暮らす場であるからこそ、数字だけでは捉えきれない部分も多く、これまでに蓄積された知見やノウハウが重要になります。物件ごとの特性や運用方針に応じ、価値と収益の最適化を目指すプロパティ・マネジメントをご検討の際は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。

集合写真

【取材協力】アール・エー・アセット・マネジメント株式会社

【文・構成】中川 寛子 HIROKO NAKAGAWA

(株)東京情報堂代表。街選びのプロとして首都圏のほとんどの街を踏破した、住まいと街の解説者。早稲田大学教育学部で地理・歴史を学び、卒業後は東洋経済、ホームプレス、東京人その他の紙、ウェブ媒体で編集者、ライターとして記事、書籍等を手がけており、主な著書に「この街に住んではいけない」(マガジンハウス)、「解決!空き家問題」「東京格差」(ちくま新書)その他著書、かかわった本多数。日本地理学会、日本地形学連合、東京スリバチ学会会員。宅地建物取引士、行政書士有資格者。

掲載中の施設名・駅名・社員の所属などの情報は2026年9月現在のものです。

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