セットアップオフィスのメリット・デメリット|
初期費用・賃料・退去費用の総額で判断

セットアップオフィスのメリット・デメリット

セットアップオフィスは、初期費用や移転準備の手間を抑えられる反面、内装費などが賃料に反映されるため、条件次第ではデメリットにもなります。
この記事では、移転期限や想定入居期間、内装の自由度や追加工事の必要性などの判断軸をもとに、セットアップオフィスが自社に向いているかを見極める方法を解説します。入居から退去までの総額の比べ方や、自社の条件を当てはめられる判断表も掲載します。

なお、セットアップオフィスの定義や通常のオフィスとの違いを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

セットアップオフィスとは?
特徴・メリット・通常オフィス
との違いを解説

1. セットアップオフィスのメリット・デメリット早見表

セットアップオフィスとは、内装や設備の一部を貸主があらかじめ整えた状態で貸し出す賃貸オフィスです。
同じセットアップオフィスでも、入居期間や人数の見通し、働き方などの条件次第では、メリットにもデメリットにもなります。セットアップオフィスを利用するメリットとデメリットを以下の表で確認してみましょう。

  有利になりやすい条件 注意が必要になる条件
初期費用 内装や家具が揃った物件を選べば、内装工事費や家具の購入費を入居時に払わずに済む 家具が付かない物件や追加工事が必要な物件では、什器の購入費や工事費が別途かかる
入居準備期間 席数や会議室数が合う物件であれば、設計や工事の期間を省いて早く入居できる 入居審査や回線などの追加工事が必要な場合、契約後すぐには業務を始められない
内装・設備 既存の内装が自社の働き方に合えば、手を加えずにそのまま使える 会議室や個室ブース、必要な設備が足りない場合、貸主の承諾を得て追加工事をする必要がある
月額費用 短期入居の場合、初期費用を抑えられる効果が、月額費用の差を上回ることがある 入居期間が長くなるほど上乗せ分の支払いが続き、総額が通常オフィスを上回る場合がある
レイアウト自由度 大きな変更を予定していなければ、レイアウトの制限が気にならない 独自のレイアウトや増員に伴う変更が必要になっても思うように手を加えられない
契約・退去 原状回復の範囲が限られた契約なら、退去時の工事負担を軽くできる 定期借家で再契約できない場合や原状回復・中途解約の条件が厳しい場合、退去時の負担が増える

整備範囲や契約条件は物件ごとに異なります。上記はあくまで目安として活用してください。

2. メリットが大きくなりやすい条件

セットアップオフィスのメリットとなる条件は自社の状況によって異なります。ここでは、メリットが大きくなりやすい4つの条件をご紹介します。

メリットが大きくなりやすい条件

1移転期限が短く、内装設計・工事の工程を省きたい

セットアップオフィスがメリットになりやすいのは、移転までの期限が迫っているケースです。通常のオフィスの場合、レイアウト設計や内装業者の選定、工事の進行管理、什器選びなどは契約後に進めなければなりません。規模によっては入居まで数ヶ月以上かかる場合もあります。その点、セットアップオフィスは内装があらかじめ整っているため、作業の多くを省略できます。

入居審査や契約手続き、インターネット回線の工事などは通常のオフィスと同じく必要ですので、業務開始日から逆算して早めに物件探しを始める必要があるでしょう。

2移転担当者の工数・体制が限られている

通常のオフィス移転では、物件探しに加え、内装業者との打ち合わせや見積もりの比較、工事日程の調整など、担当者の対応業務が多岐にわたります。これらを日々の業務と並行して進めるとなると、本来の業務に割く時間が削られてしまう恐れがあります。

その点、セットアップオフィスは完成したオフィスや完成予定図を見ながら物件を選べるため、内装に関する打ち合わせや業者とのやり取りの時間を大きく減らせます。専任の移転担当者を置けない中小企業やスタートアップにとって大きなメリットとなるでしょう。

3既存の内装・レイアウトが自社の働き方に合う

セットアップオフィスの場合、席数や会議室の数、動線などが自社の働き方と合っていれば、内装費や家具代を抑えられます。

例えば、Web会議の多い20名規模の企業の場合、執務席に加えて個室ブースや小さめの会議室が揃っているセットアップオフィスであれば、そのままの状態で使える可能性が高いでしょう。一方、必要な部屋や設備が足りなければ追加工事が発生するため、その工事費用や退去時の原状回復の負担が発生します。

内覧で確認しておくべき設備や内装のポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

東京でセットアップオフィスを
探すポイント|
エリア・設備・賃貸条件の見方

4一から内装を設計する必要性が低い

内装を一から設計しなくても業務に支障がない企業にはセットアップオフィスがおすすめです。社内ミーティングが中心の営業拠点やサテライトオフィスであれば、既存の内装のままでも困る場面は少ないでしょう。
一方、コーポレートカラーを空間全体に反映したい企業や、サーバールームや防音室などの特殊な設備が必要な企業は、既存の内装では希望する要件を満たせない恐れがあります。自社がオフィスに何を求めるのかを整理し、既存の内装で足りるかどうかを見極めましょう。

3. デメリットが大きくなりやすい条件

セットアップオフィスにはメリットがある条件が多い一方、条件によってはデメリットが目立つケースもあります。ここでは、注意が必要な条件を4つご紹介します。

デメリットが大きくなりやすい条件

1長期入居を想定している

セットアップオフィスは、長く入居するほど賃料の高さがデメリットになる恐れがあります。セットアップオフィスでは、貸主が負担した内装費や家具代が月々の賃料に反映されている場合があります。そのため、入居期間が短ければ初期費用を抑えられるメリットが上回るものの、期間が延びるほど上乗せ分の負担が大きくなっていきます。入居から退去までの総額が自社で内装工事をした通常オフィスより高くなる恐れもあるでしょう。

どちらが得になるかは、賃料の差や初期費用、退去時の費用によって変わります。具体的な比較の方法は、後述の「想定入居期間を置いてトータルコストを比較する」を参考にしてください。

2独自レイアウトや特殊設備が必要

自社独自のレイアウトや特殊な設備が必要な場合、セットアップオフィスでは思うように手を加えられないケースがあります。

セットアップオフィスは既存の内装を使う前提で貸し出されるため、間仕切りの移動や設備の追加には貸主の承諾が必要です。また、承諾を得られても工事費用は借主の負担となり、退去時には元の状態へ戻す原状回復工事を求められることもあります。内覧の時点で変更できる範囲と退去時の条件を確認しておくと安心です。

3増員やレイアウト変更が多い

セットアップオフィスは、あらかじめ想定した人数に合わせて執務席や会議室が配置されています。間仕切りの変更にも制約がある場合が多く、急な増員に合わせて席を増やしたり、部署ごとに配置を組み替えたりすることは難しいでしょう。

例えば、1年で10名以上の採用を予定している企業では、入居後まもなく席が足りなくなる恐れがあります。今後の採用計画を踏まえ、増席の余地や同じビル内で増床できるかどうかもあわせて確認しておきましょう。

4既存設備では追加工事が多くなる

既存の設備が自社の要件に届かない場合は追加工事が必要になり、初期費用を抑えられるセットアップオフィスのメリットが薄れてしまいます。不足しやすい主な設備は以下のとおりです。

  • インターネット回線の種類や通信速度
  • サーバーや複合機などに必要な電源容量
  • OAフロア(床下に配線を通せる二重構造の床)の有無
  • 入退室管理などのセキュリティ設備

上記を設置する工事が増えると、費用の増加だけでなく、入居までの期間も延びてしまいます。内覧では、内装の印象だけを見るのではなく、自社の要件を満たしているかどうかも確認しましょう。

4. 想定入居期間を置いてトータルコストを比較する

セットアップオフィスへの入居を検討する際は、想定する入居期間を決めたうえで、入居から退去までの総額を計算してみましょう。オフィス移転費用の総額は以下の式で整理できます。

トータルコスト=入居時の費用(初期費用・追加工事費など)+月額費用×想定入居月数+退去時の費用

ここでは、入居時、入居中、退去時の3つに分けて確認すべき費用項目をご紹介します。

入居時|初期費用と追加工事

入居時は、通常の賃貸借契約でかかる費用に加え、既存の内装だけでは足りない部分の追加費用を洗い出しましょう。敷金や保証金、仲介手数料、保証会社の費用や火災保険料などは、通常オフィスと同じく契約時に発生します。そのうえで、セットアップオフィスでは以下のような追加費用がかかる場合があります。

  • 不足する家具や設備の購入費
  • インターネット回線の工事費
  • 社名サインや案内表示の設置費
  • 会議室や個室ブースを増やす追加工事費

何が備わっていて何が別料金になるかは物件ごとに異なります。一般的な相場で予想するのではなく、物件ごとの募集条件や見積書をもとに資金計画を立てましょう。

入居中|月額費用 × 想定入居月数

入居中の総額は、月額費用に想定入居月数をかけて算出します。セットアップオフィスでは、賃料と共益費のほか、家具や設備の利用料が別に設定されている場合があります。そのため、月額に何が含まれているかを整理してから、通常オフィスとの月額の差に想定入居月数をかけてみましょう。
もし3年間の入居を想定するのであれば、月額の差×36ヶ月が入居中の差額の目安となります。水道光熱費や通信費など、どちらの物件でも発生する費用も忘れずに計上し、シミュレーションしましょう。

入居中|月額費用 × 想定入居月数

退去時|原状回復・撤去・修繕

退去時の費用は、物件や契約内容によって大きく異なります。あらかじめ用意された内装であっても、自社で追加した部分の原状回復や使用中に傷めた部分の補修は多くの場合で借主の負担となります。特に以下の費用を確認しておきましょう。

  • 自社で追加した間仕切りやサインの撤去費
  • 備え付けの家具や設備を破損した場合の修繕費
  • 持ち込んだ家具や不用品の廃棄費
  • 原状回復工事の範囲と費用の負担区分

原状回復の金額は契約書の条文次第で変わることもあるため、見積もりの前に契約書を確認しておくと安心です。原状回復の考え方については以下の記事でご紹介しています。

セットアップオフィスとは?
特徴・メリット・通常オフィス
との違いを解説

費用を比較する方法は、記事後半の「セットアップオフィスの費用・判断に関するよくある質問」でも解説しています。

比較期間の置き方(3年・5年は例)

トータルコストを比較する期間は、条件を揃えたうえで、3年や5年など複数のパターンで試算しましょう。
セットアップオフィスは初期費用を抑えやすい一方、内装費などが賃料に反映され、通常オフィスより月額費用が高くなる場合があります。そのため、期間が短いうちは総額が低くても、期間が延びるにつれて通常オフィスとの差が縮まり、有利と不利が入れ替わる場合もあります。候補の物件が見つかったら、以下の比較シートに見積額や募集条件を入力して比べてみてください。

比較期間の置き方(3年・5年は例)

比較シートをダウンロード [PDF:147KB]

5. 条件別の判断表|セットアップオフィス向きか、
通常オフィスも含めて比較すべきか

ここまでご紹介してきた条件を、自社に当てはめて判断できるよう、表にまとめました。
セットアップオフィスが自社に合うかどうかは、移転期限や入居期間、社内の体制など、複数の条件が重なって決まります。1つの軸だけで決めず、下記のどちらの条件に多く当てはまるかで判断しましょう。

  セットアップオフィス向きになりやすい条件 通常オフィス等も比較したい条件
移転期限 現オフィスの退去期限や増員の時期が迫り、内装工事の期間を取る余裕がない 移転まで時間に余裕があり、設計や工事の期間を確保できる
想定入居期間 数年以内に増床や再移転の可能性がある 同じ拠点に長く入居する予定がある
内装自由度 既存の内装やデザインのままでも業務に支障がない ブランドを反映した内装や独自のレイアウトを作りたい
追加工事の必要性 席数や会議室数、回線などが既存の設備で足りる 個室ブースや特殊な設備、電源・回線などの追加工事が多く見込まれる
担当者リソース 総務が兼務するなど、移転準備に割ける人手が限られている 専任の担当者がいて、内装業者との打ち合わせや工事の管理に対応できる
増員・レイアウト変更予定 当面の人数が安定しており、大きな配置変更の予定がない 採用による増員や部署の再編に伴う配置変更が多い

「通常オフィス等も比較したい条件」に多く当てはまる場合でも、セットアップオフィスが候補から必ず外れるわけではありません。想定入居期間のトータルコストで比較してみましょう。

6. 総額と向き不向きを左右する契約条件

セットアップオフィスの総額は契約条件によっても変わります。費用を比較する際に押さえておくべき条件を見てみましょう。

月額賃料に何が含まれるか

セットアップオフィスの賃料には、あらかじめ用意された内装や家具などの費用が反映されているのが一般的です。しかし、インターネット使用料や入退室管理費などが賃料に含まれていないケースもあります。その場合は自社で独自に契約する必要があり、その分の支出が増えます。
候補の物件を比べる際は、賃料の金額だけでなく、何が含まれていて何を自社で負担しなければならないのかを詳しく確認しましょう。

月額賃料に何が含まれるか

追加工事の費用負担と可否

追加工事をどこまで認めてもらえるか、その費用を誰が負担するかによって初期費用は変わります。例えば、セットアップオフィスで間仕切りの変更や設備の追加をする場合は貸主の承諾が必要になるケースが多く、工事費用は借主の負担です。また、入居後の工事が認められない物件もあるため、契約前に工事の可否と費用負担を確認しておきましょう。
あわせて、工事業者が指定されているかどうかも確認しておく必要があります。場合によっては、自社で発注するよりも工事費が高額になるケースもあります。

備え付け家具・設備の修繕負担

オフィスチェアや会議室のモニターなど、備え付けの家具や設備が故障した際、貸主と借主のどちらが費用を負担するのかも把握しておいてください。入居期間が長くなればなるほど修繕が必要になる場所も増えるため、修繕と交換の負担区分を契約書で確認し、資金計画に織り込んでおきましょう。
なお、貸主が家具を用意した場合、入れ替えや撤去に承諾が必要になるケースもあります。

備え付け家具・設備の修繕負担

契約期間・中途解約と想定入居期間の整合

契約期間が自社の想定入居期間と合っているかも確認しておきたいポイントです。定期借家契約は、原則として契約期間の満了によって終了し、継続して入居するには貸主との再契約が必要です。再契約の可否や条件は物件によって異なるため、長期入居を想定している場合は契約前に確認しましょう。
また、短期間で退去する可能性がある場合は、中途解約の可否や解約予告の期間を確認しておきましょう。
契約形態の違いについては、以下で解説しています。

原状回復・撤去条件が退去時費用に与える影響

セットアップオフィスは貸主負担で内装を整備しているため、原状回復の範囲が一般的なオフィスよりも狭い傾向にあります。とはいえ、原状回復がまったく不要になるとは限りません。自社で追加した造作や設備は借主の負担で撤去を求められる場合もあります。追加工事を検討している場合は、退去時の扱いまで確認したうえで判断しましょう。
原状回復の考え方は以下の記事で解説しています。

原状回復・撤去条件が退去時費用に与える影響

セットアップオフィスとは?
特徴・メリット・通常オフィス
との違いを解説

7. セットアップオフィスの費用・判断に関するよくある質問

最後に、セットアップオフィスの費用や判断基準についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q 1.

初期費用が安ければトータルコストも安くなりますか?

初期費用が安くても、トータルコストまで安くなるとは限りません。セットアップオフィスは初期費用を抑えられる分、月額賃料が通常オフィスより高くなるのが一般的です。月額費用に想定入居月数をかけた金額や、追加工事費、退去時の費用まで含めて比較しましょう。想定入居期間を決めてシミュレーションすれば、自社にセットアップオフィスが向いているかどうかを判断できます。

Q 2.

長期間入居する場合もセットアップオフィスは有利ですか?

有利か不利かは物件の条件によって変わります。判断するためには、通常オフィスとの月額の差に入居月数をかけた金額と、内装工事費などの初期費用の差を比べてみてください。入居期間が延びるほど月額の差が大きくなるため、3年と5年など、複数の期間で試算するのがおすすめです。

Q 3.

追加工事費や退去費用はどう比較すればよいですか?

入居時に用意されている内装や設備と自社の要件との差を洗い出し、見積もりで金額を確認しましょう。席や会議室の数、インターネット回線や電源などが足りているかどうかがわかれば、追加工事の要否や範囲が把握できます。そのうえで、追加工事費に退去時の原状回復や撤去の費用も加えて比較しましょう。

8. まとめ|自社の条件と想定入居期間で
「得か損か」を判断する

セットアップオフィスは初期費用や移転準備の手間を抑えやすい一方、内装費などが賃料に反映されている物件では、入居期間が長くなるほど月額費用の差が総額に影響します。そのため、通常のオフィスと比較する際は、想定入居期間に応じたトータルコストを確認することが重要です。

セットアップオフィスが自社に向いているかどうかは、移転期限や想定入居期間、内装の自由度や追加工事の要否などによって変わります。入居時の費用(初期費用・追加工事費など)+月額費用×想定入居月数+退去時の費用の式に当てはめ、想定入居期間の総額で比較しましょう。この記事でご紹介した判断表と比較シートをぜひご活用ください。
以下の記事では、セットアップオフィスの特徴や東京で物件を探すポイントを詳しく解説しています。移転先を検討している方はあわせてチェックしてみてください。

セットアップオフィスまとめ

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